女性に多い「手指の不調」
放置すると"変形"も!?

みなさんは、手指の痛みやしびれ、腫れ、そして変形などのつらい不調が、
「40代以上の女性に特に生じやすい」ということをご存じでしょうか?
これまでは、ほとんどの人が「年齢のせい」「使いすぎ」と諦めていたのですが、
近年、このような不調の原因が明らかになりつつあります。
そこで、手指の腫れや変形が発症するメカニズムや対処法について、
「手の外科」を専門とする二人の医師に話をお伺いしました。

手外科専門医スペシャル対談

平瀬 雄一 医師
四谷メディカルキューブ
手の外科・マイクロサージャリーセンター センター長

東京慈恵会医科大学卒業。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学後、東京慈恵会医大柏病院形成外科医長、埼玉成恵会病院形成外科部長などを経て、2010年より現職。日本手外科学会専門医。
平田 仁 医師
名古屋大学大学院医学系研究科 手の外科学 教授
日本手外科学会理事長

三重大学医学部卒業。2003年三重大学医学部助教授。2005年より現職。名古屋大学医学部附属病院手の外科科長。同大学予防早期医療創成センター教授、日本マイクロサージャリー学会理事。

手外科専門医
スペシャル対談

平瀬 雄一 医師
四谷メディカルキューブ
手の外科・マイクロサージャリーセンター センター長

東京慈恵会医科大学卒業。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学後、東京慈恵会医大柏病院形成外科医長、埼玉成恵会病院形成外科部長などを経て、2010年より現職。日本手外科学会専門医。
平田 仁 医師
名古屋大学大学院医学系研究科
手の外科学 教授
日本手外科学会理事長

三重大学医学部卒業。2003年三重大学医学部助教授。2005年より現職。名古屋大学医学部附属病院手の外科科長。同大学予防早期医療創成センター教授、日本マイクロサージャリー学会理事。

手指の不調で受診される方の特徴は?

平瀬
私が診察を担当する方の9割以上は女性です。そしてそのうちの9割以上が更年期(閉経の前後10年間)以降の方々。実はそうした不調の生じやすさに男女の差はあまりないのですが、女性は痛みがとても強く出るし、腫れやすいのです。
平田
症状には様々な種類(下図)がありますが、最も多いのは指や手首に痛みや機能障害が生じる「腱鞘炎」という病気です。
平瀬
私が診察を担当する方の9割以上は女性です。そしてそのうちの9割以上が更年期(閉経の前後10年間)以降の方々。実はそうした不調の生じやすさに男女の差はあまりないのですが、女性は痛みがとても強く出るし、腫れやすいのです。
平田
症状には様々な種類(下図)がありますが、最も多いのは指や手首に痛みや機能障害が生じる「腱鞘炎」という病気です。

どのように進行していくのでしょうか?

平瀬
まず50代の前半で腫れや痛みが生じ、そのうちしびれやこわばりが出てきます。その後に適切な治療を受けられないでいると、疾患によっては60代になって指に変形が起こってくる…というパターンです。
平田
海外の調査を見ても、その傾向はほぼ変わりません。ただ、患者さんたちは変形が生じるまで何もしていないわけでなく、多くの方が痛みを覚えた時期に医療機関を受診されているのですよね。
平瀬
ええ、ところがせっかく受診しても「年齢のせい」「使いすぎ」と告げられ、諦めてしまう人が大多数です。同じように年齢を重ねても症状が出ない人はいるし、利き手でない手の指に症状が出る人も多いわけで、そうした見立てはおかしいのですが。
平田
適切な診断を受けるまでに何軒もの医療機関を転々とし、効果的な治療をするための貴重なタイミングを逃してしまう方も少なくない。これは大変残念なことです。
平瀬
まず50代の前半で腫れや痛みが生じ、そのうちしびれやこわばりが出てきます。その後に適切な治療を受けられないでいると、疾患によっては60代になって指に変形が起こってくる…というパターンです。
平田
海外の調査を見ても、その傾向はほぼ変わりません。ただ、患者さんたちは変形が生じるまで何もしていないわけでなく、多くの方が痛みを覚えた時期に医療機関を受診されているのですよね。
平瀬
ええ、ところがせっかく受診しても「年齢のせい」「使いすぎ」と告げられ、諦めてしまう人が大多数です。同じように年齢を重ねても症状が出ない人はいるし、利き手でない手の指に症状が出る人も多いわけで、そうした見立てはおかしいのですが。
平田
適切な診断を受けるまでに何軒もの医療機関を転々とし、効果的な治療をするための貴重なタイミングを逃してしまう方も少なくない。これは大変残念なことです。

手指に不安を覚える人にアドバイスを

平瀬
まずは「家族歴」の有無を調べてみるとよいでしょう。お母さんやお祖母さんの指に変形がある人は、そうでない人に比べてかなりリスクが高いといえます。
平田
遺伝だけでなく、食生活や生活環境を受け継いでいることが影響するようです。
平瀬
気になる方は、エクオール含有食品を選択肢の一つとして、早めに対策を講じられるとよいでしょう。
平田
手指の不調の対策は長丁場になりますから、食品由来の成分なら安心ですよね。そして症状を自覚された際にはぜひ日本手外科学会のwebサイトを見ていただき、手の外科の専門医を受診されることをお勧めします。
平瀬
まずは「家族歴」の有無を調べてみるとよいでしょう。お母さんやお祖母さんの指に変形がある人は、そうでない人に比べてかなりリスクが高いといえます。
平田
遺伝だけでなく、食生活や生活環境を受け継いでいることが影響するようです。
平瀬
気になる方は、エクオール含有食品を選択肢の一つとして、早めに対策を講じられるとよいでしょう。
平田
手指の不調の対策は長丁場になりますから、食品由来の成分なら安心ですよね。そして症状を自覚された際にはぜひ日本手外科学会のwebサイトを見ていただき、手の外科の専門医を受診されることをお勧めします。
エストロゲン減少
「エクオール」で対策を

女性ホルモンの一つに、卵巣でつくられる「エストロゲン」があります。
エストロゲンは、全身の健康に関わる様々な働きを持っていて、
「腱などの腫れを抑制する」というのもその一つです。
しかし、更年期や産後の授乳期にはエストロゲンの分泌量が急激に減少してしまうため、
このような働きが失われてしまうのです。
手指に不調が生じるのも、その影響だと考えられます。

そこで注目されるのが「エクオール」です。
エクオールは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌によって
代謝されて産生され、「エストロゲンによく似た働きをする」という特長があります。

そこで、手指の不調を抱える人に、毎日エクオール10㎎を含むサプリメントを摂取してもらったところ、3か月後には、6割近くの人に痛みの改善が見られました。

しかし、腸内でエクオールをつくり出せるのは、日本人女性では2人に一人と言われています。
自分がエクオールをつくり出せるかどうかは、専用のキットを使った検査で確かめておくとよいでしょう。

女性ホルモンの一つに、卵巣でつくられる「エストロゲン」があります。
エストロゲンは、全身の健康に関わる様々な働きを持っていて、「腱などの腫れを抑制する」というのもその一つです。
しかし、更年期や産後の授乳期にはエストロゲンの分泌量が急激に減少してしまうため、このような働きが失われてしまうのです。
手指に不調が生じるのも、その影響だと考えられます。

そこで注目されるのが「エクオール」です。
エクオールは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌によって代謝されて産生され、「エストロゲンによく似た働きをする」という特長があります。

そこで、手指の不調を抱える人に、毎日エクオール10㎎を含むサプリメントを摂取してもらったところ、3か月後には、6割近くの人に痛みの改善が見られました。

しかし、腸内でエクオールをつくり出せるのは、日本人女性では2人に一人と言われています。
自分がエクオールをつくり出せるかどうかは、専用のキットを使った検査で確かめておくとよいでしょう。


腱鞘炎や指の変形
発症のメカニズムは?
私たちの指にはトンネルのような構造をした「腱鞘」と、
その中を通る「腱」があります。
腕の筋肉の収縮により腱を引っ張る際に、腱鞘が滑車のような役目を果たすことで、指を曲げているのです。
しかし、腱や腱鞘に炎症が起きて腫れると、
強くこすれあうため、強い痛みが生じてしまいます。
これが「腱鞘炎」です。

「腱鞘炎」で腱と腱鞘との摩擦が大きくなってくると、
関節が引っ張られ、強い負担がかかることになります。
こうした状態が長く続くと、関節の軟骨が痛み、
やがて「変形性関節症」につながってしまうのです。
私たちの指にはトンネルのような構造をした「腱鞘」と、その中を通る「腱」があります。
腕の筋肉の収縮により腱を引っ張る際に、腱鞘が滑車のような役目を果たすことで、指を曲げているのです。
しかし、腱や腱鞘に炎症が起きて腫れると、強くこすれあうため、強い痛みが生じてしまいます。これが「腱鞘炎」です。



「腱鞘炎」で腱と腱鞘との摩擦が大きくなってくると、関節が引っ張られ、強い負担がかかることになります。
こうした状態が長く続くと、関節の軟骨が痛み、やがて「変形性関節症」につながってしまうのです。