「容姿の変化」が
QOLを左右する
ー40代以降の女性に生じる変化とは?
- 髙松
- 閉経前後の10年間を更年期といいますが、この時期には女性ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」のレベルが急激に低下していきます。エストロゲンは子宮や乳腺など生殖に関わる器官はもちろん、脳や血管、骨など全身の健康にも深く関わっているので、低下に伴って様々な問題が生じてくるわけです。更年期の症状としては、のぼせ・ほてり・発汗といった「ホットフラッシュ」がよく知られていますが、それ以外にも手指の痛みや骨密度の低下など、実に300以上にも及ぶ心身の不調が引き起こされるといわれます。
- 植木
- 美容の面では「シミ・シワ・白髪・薄毛」という4つの問題が生じやすくなります。これらは加齢に起因するもので、同時にエストロゲンレベルの低下とも関係があると考えられます。
- 髙松
- 美容というのは一昔前まで、健康に比べて軽視されがちでした。しかし容姿は本人の精神状態やQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼします。「心身相関」という言葉の通り、心の状態が良いことは体にも良いし、逆もまた然りですよね。
- 植木
- 「人生100年時代」を迎えようとしているいま、若々しく美しい容姿は健康の証しでもあります。近年は「いつまでも美しくありたい」と考える人が増えているようですが、そうした要望にどう向き合えるのか、これは医療者にとって大きな課題といえるでしょう。
心がけたい生活改善
薄毛を予防・改善するためには、生活習慣の改善が欠かせません。中でも大切なのは睡眠で「一定の時間に就寝・起床すること」「毎日6時間以上眠ること」を目指しましょう。食事については多彩な栄養素をバランスよく摂る必要がありますが、女性は年齢を重ねるにつれて“髪の材料”となるたんぱく質の摂取量が不足していきがちです。赤身の肉や大豆製品などを意識して摂るよう心がけてください。
「頭皮が汚れているとよくない」と考えて毎日ゴシゴシと髪を洗う人がいますが、更年期以降は皮脂の分泌が少なくなることもあり、洗いすぎは頭皮を傷つけたり、乾燥させる原因に。特に冬は洗髪を1日おきにするなど、洗いすぎないよう工夫しましょう。
喫煙は髪に良くない習慣の代表格です。頭皮の細胞は活発に活動するので、血液からたくさんの栄養を取り込む必要がありますが、喫煙は血行を悪くします。血管を収縮させる作用のあるカフェインも同様の理由で髪によくないため、夕方以降の摂取は控えてください。
髪の毛は生命に関わるものでないだけに、健康状態の悪化や栄養の不足が生じると、私たちの体は「髪の毛を捨てて生命を守ろう」とし、その結果として脱毛や白髪が起きます。つまり髪の健康を守るには、まず体の健康を守らなければならないのです。