高尾美穂先生のオンラインセミナー(Zoom ウェビナー)
『誰かと共に学びたい「女性の健康」~PMS・更年期とその後の不調~』
にご招待します。
詳しくは記事の下にある案内をご覧ください。
健康課題に“誰かと共に”向き合うことを
勧める理由は?
「私たち」として取り組むことが
大きな力になるからです。
自分を変えることも、他人を変えることも、なかなか難しいことですよね。でも、自分が誰かと一緒になって「私たち」という視点を持てば、変わっていける可能性が広がると、私は考えているのです。
たとえば親や子ども、パートナーに「変わってほしい」と思っても、自分とは別の人間なので難しいでしょう。でも、自分も相手と同じ方向を向いて「私たち」として協力すれば、変革できる可能性が高まります。「自分がその一部を担っている」という責任感を持ちつつ、他者と共に支え合うことで、より大きな推進力を得られるからです。
これは家族だけでなく、職場や地域、さらには社会全体にも当てはまる考え方です。
ぜひ、誰かと協力しながら、健康的で幸せな人生を築いてください。

女性特有の健康問題は
なぜ生じるの?
女性ホルモン「エストロゲン」の影響が
要因の一つです。
女性の体は「思春期」「性成熟期」「更年期」「老年期」というライフステージごとに大きく変化します。
その鍵を握っているのが、卵巣で作られる女性ホルモンの一つである「エストロゲン」です。
エストロゲンは、思春期に分泌が始まって月経の開始を促し、性成熟期には妊娠や授乳を支える役割を担います。しかし、40代を迎える頃から急激に減少していくため、更年期にはほてりや急な発汗などのホットフラッシュ、不眠、イライラといった症状が現れやすくなるのです。また、エストロゲンは骨密度や血管の健康を保つ働きもしています。そのため、ホルモン量の減少が進むと、骨粗しょう症や動脈硬化などのリスクが高まります。

思春期における代表的な
健康課題は?
PMS(月経前症候群)など
月経にまつわる不調です。
思春期の女性たちは自分の体に対して違和感や拒否感を覚えがちです。たとえば、体が丸みを帯びてくることに抵抗を感じたり、月経が始まったこと自体を受け入れられなかったりします。月経そのものが「血が出る=怪我」という子ども時代の認識から、怖いものとして捉えられることも少なくありません。ただ、時間が経つにつれて「月経は仕方ないこと」と理解するようになります。
その後は、月経中や月経前に起こる不調、PMS(月経前症候群)など、月経サイクルに伴う問題に悩むことが多くなります。

PMSの症状について
教えてください。
むくみやイライラなど心身に多様な症状が出ます。
身体症状としては「胸・お腹の張り」「頭痛」「眠気/不眠」「むくみ」などが挙げられます。特に女性はむくみに敏感で、たとえば「朝は普通に履けたブーツが、帰りにはファスナーが上がりにくくなる」ということもあります。
ある研究では、月経前に体重が最大2kg近く増加することが確認されたそうですが、増えているのは脂肪や筋肉ではなく、ほとんどが水分です。むくみによって見た目が変わると、女性は「太った」と感じてしまい、気分も落ち込みやすくなります。
PMSでは精神症状に悩まされる人も多くみられます。普段は機嫌よく過ごしている女性が、月経前になると何気ないことでイライラしたり、やる気をなくしたりすることがあります。ただし、こうした変化は気付きにくいので、むくみのような分かりやすい体の変化をきっかけに自分の体調を把握することも大切です。
PMS対策として
できることは?
治療やセルフケアなど、
打てる手はたくさんあります。
婦人科を受診すれば、低用量ピルや漢方薬などを用いた治療を受けることができ、症状が大きく改善することがあります。
また、セルフケアとして「食事の改善」や「適度な運動」「十分な睡眠時間の確保」に取り組むこともおすすめです。
むくみの改善が期待できる「γ-トコフェロール」や「γ-トコトリエノール」などを含むサプリメントを活用するのもよいでしょう。
女性の健康に関して、家族が気を付けたいことは?
昔の知識・感覚で治療を
妨げないこと。
医療の現場では、医師が勧める治療や薬を、本人ではなくお母さんやお祖母さんが拒否するということがよくあります。いわゆる「ママブロック」「おばあちゃんブロック」です。
たとえば、低用量ピルやホルモン補充療法(HRT)に抵抗感を感じる人は少なくありません。おそらく性教育を十分に受けていない世代なので、「自分の頃にはなかったものだから怖い」「ピルを使うのはよくないことだ」と感じてしまうんですね。
ただ、医療も世の中も進歩しています。親や祖父母の世代も「知らないことは学ぼう」「教えてもらおう」という柔軟な姿勢を持つことが大切。ご自身のためにもぜひヘルスリテラシーを高めてください。

更年期とその後の
健康課題は?
一時的な不調と、継続的に対策したい疾患の
2つにわけて考えましょう。
更年期(閉経の前と後の5年間を合わせた10年間)以降は、それまで全身を守ってくれていた女性ホルモン「エストロゲン」が減少するため、心身にさまざまな問題が起きやすくなります。
ホルモンが関わる更年期とその後の健康課題は2つに大別できます。1つは急な汗やほてりなどの「ホットフラッシュ」や抑うつ症状など、まさにゆらぎの時期に起こる不調です。仕事や家事の妨げにもなって大変つらいのですが、やがては収まっていく一時的な不調ともいえます。
もう1つは更年期の後に訪れる老年期の疾患です。具体的には骨密度や筋肉量の低下、動脈硬化などが挙げられます。老年期の骨折や筋肉量の著しい低下は寝たきりの原因ともなりますし、動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞など深刻な疾患につながっていく可能性があります。
更年期とその後の不調は
耐えるしかない?
治療やセルフケアなどさまざまな
対処法があります。
更年期以降の不調への対策の一つに、医療機関で受けられる「ホルモン補充療法(HRT)」があります。これは減少した女性ホルモンを補う治療で、症状の改善が期待できます。
また、ご自身でできるセルフケアとしては運動習慣を身に付けることや、食事における栄養バランスの改善が有効です。
「エクオール」の活用も一つの対策になります。エクオールは大豆イソフラボンから作られる成分で、エストロゲンに似た作用を持っています。大豆を食べることで腸内で産生されますが、その能力には個人差がありますので、サプリメントの活用を検討されるとよいでしょう。
大切なのは、症状に合った対策を早めに取り入れること。婦人科で相談すれば、ご自身に合った方法を提案してもらえますので、気軽に相談してみてください。

一生を元気に楽しむために大切なことは?
正しい知識を持ち、
それに基づく行動を実践すること。
私は皆さんがまず健康に関する正しい知識を持ち、情報をアップデートしていくことが大切だと考えています。「情報をアップデートする」と聞くと、忙しいイメージを持つかもしれませんが、そんなに大げさに考える必要はありません。
食生活で言えば「腹八分目」や「バランスの取れた食事」といった基本的なことは、何十年も言われ続けている普遍的な真理です。それに新しい知見が少しずつ追加されていくだけですから。何か新しい情報に出会ったときに、少し興味を持って調べてみるくらいで十分です。まず「知る」という行動を起こしてみることで、新たな選択肢が広がります。

医療との関わり方は
どうしたらいいですか?
何でも話せる「かかりつけ医」を持つのが
理想です。
女性はライフステージごとに健康上の悩みが出てきやすいので、継続的に自分の状態を把握してくれるかかりつけの婦人科医がいると、適切な対応が早期に可能になります。
自分にぴったり合う先生に出会えることが理想ですが、完璧にマッチする医師を見つけるのは現実的ではありませんから、あまり理想を高く持ちすぎないことも大切かもしれません。「通いやすい場所にある」「女性医師である」「休日に診てもらえる」など、優先するポイントは人それぞれで構いません。すでに信頼できる先生がいるのであれば、その先生との関係を大切にして、定期的に通うことが重要だと思います。
定期的な健診/検診を受けることで、子宮頸がんや乳がんといった女性特有の病気を早期に発見できるだけでなく、体調に関する相談もでき、対策方法の選択肢も広がります。
