家事や仕事をするのがつらい
手指のこわばり、痛み、しびれ、腫れ

それ、更年期女性に多い
「メノポハンド」かも!?

こわばりを感じる女性の手
更年期を迎えた女性の中には「メノポハンド」と呼ばれる手指の不調を訴える人が多いといわれます。さてその原因、そして対処法は? 2人の手外科専門医に聞きました。

専門医紹介

整形外科学講座教授 河村健二 先生
奈良県立医科大学
整形外科学講座教授

河村 健二先生
整形外科学講座講師 下江隆司 先生
和歌山県立医科大学
整形外科学講座講師

下江 隆司先生

更年期女性に多い
「メノポハンド」とは?

40代半ば以降の女性には、手指のこわばりや痛み、しびれ、腫れといった不調に悩む方が多いそうですね

河村
はい、そうした更年期に見られる手指の不調を、私たちは「メノポハンド」と呼んでいます。これまでは「年のせい」「使いすぎたせい」と見過ごされがちでしたが、更年期に関係する不調と捉えることで、早い段階で対応できるようになってきました。

メノポハンドは、どうして女性に生じるのですか?

下江
背景にあると考えられているのは、女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の変動です。エストロゲンには、手指の関節の周りにある滑膜を保護する作用があるといわれます。しかし、更年期に入ると急激に低下していくため、手指の不調が現れやすくなると考えられています。

例えば、頭や胸に不調を感じたら「病院に行かなくては」と考えます。一方で、手指の不調はつらく、不便ではあるものの、「命には関わらない」という意識があるので、後回しにしがちなのではないでしょうか。

下江
まさに、その通りです。手指というのは、毎日使わずにいられない、大事なものなんですけども。
河村
最近は、患者さんご自身が「私、メノポハンドかもしれません」と言って来られることも増えました。「メノポハンド」という言葉を認識してもらうこと自体が、受診につながる大きな一歩だと感じています。

メノポハンドとは?

更年期女性に見られる
手指の不調の総称です

メノポハンドとは「menopausalメノポーザル handハンド 」の略で、更年期の女性によく見られる手指のさまざまな不調を総称した呼び名です。2022年に日本手外科学会が命名し、啓発活動を行ってきました。こわばりや痛み、しびれ、腫れ、関節の変形などが代表的で、背景には女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の変動が関係していると考えられています。レントゲンでは異常が見られなくても、こわばりや痛みを訴える方は少なくありません。こうした不調が進行すると、腱鞘炎や変形性関節症、手根管症候群などの疾患(下図参照)として現れることもあります。更年期という体の変化と関係する不調として、早めに気づき、適切に対処することが大切です。

更年期の女性にみられる手指の疾患説明図

治療とセルフケア
症状に応じて選択
~注目の成分エクオール~

メノポハンドになった場合、どのように対処すればよいでしょうか?

河村
メノポハンドへの対処法は、症状の程度によって異なります。軽度であればテーピングや消炎鎮痛剤を用いた保存的な治療が中心になりますが、進行している場合には、炎症を抑える注射や、変形があれば手術を検討します。一方、ご自身で取り組めるセルフケアには、手指をお湯に浸して温めることや、ストレッチがあります。最近は「エクオール」という大豆由来の成分も注目されています。

エクオールとはどのようなものか、教えてください。

下江
エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌で代謝されてできる成分で、エストロゲンに似た働きをすると考えられています。私は手指の不調とエクオールの関係について臨床研究にも取り組んでいますが、エクオールの活用によって、関節の腫れや痛みといった症状が和らぐケースが見られます。

セルフケアの選択肢が増えることは、とてもいいことですね。

下江
おっしゃる通りです。私が研究をしていて感じるのは、エクオールを使用した結果には、個人差があるということです。だからこそ、「合うかもしれない選択肢の一つ」としてお伝えすることが大事だと思っています。

エクオールとは?

エストロゲンに似た働きが期待される成分です

エクオールとは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌によって代謝されて生み出される成分です。女性ホルモン「エストロゲン」と構造が近く、似た働きを持つことが知られています。ただし腸内でエクオールをつくる能力には個人差があり、日本人で産生できる人は、私の研究では4割程度でした。近年では、エストロゲンが急激に低下していく更年期のさまざまな不調との関係について研究が進められており、手指の違和感や痛みへの関与も注目されています。こうした背景から、必要に応じてエクオールを含むサプリメントなどをセルフケアの1つとして活用するという考え方もあります。

手指の痛み(VAS)に対するエクオール摂取の改善効果を示すグラフ

早期に気づいて
適切な対処を

メノポハンドは遺伝しますか?

河村
いわゆる遺伝病というわけではありません。ただ、メノポハンドの方には「お祖母様やお母様にも手指の不調が見られた」というケースがかなりあります。体質や、これまでの生活習慣が似ていることも影響しているのかもしれません。ご家族に同じような手指の不調があった場合は、注意すべき一つのサインと捉えるのがよいと思います。

手指の不調を感じた場合、誰に相談するのがよいですか?

下江
基本的にはまずお近くの整形外科を受診されるのがよいと思いますが、手外科の専門医がいる医療機関だとより安心です。手外科の専門医がいる医療機関は、日本手外科学会のWebサイトで調べることができますよ。リウマチなど、似た症状を示す疾患もあるので、しっかり鑑別することも重要です。
日本手外科学会のWebサイトはこちら

手は日常を楽しむ上でも大事なものですから、手指の不調を感じたら放置せず、きちんと向き合うことが大切ですね。

河村
女性の患者さんの中には、手の見た目を気にされる方が多くいらっしゃいます。私たちも、治療ではまず「機能」を大切にしますが、同時に「見た目」や「その人らしさ」をできるだけ守ることを意識しています。
下江
年齢を理由に諦めたり、忙しさを理由に対処を先送りにしたりせず、できるだけ早めに専門家に相談して、よりよい対処をしていただきたいと思います。

初回掲載時期:2026年2月27日
更新日:2026年8月27日

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