ホルモン補充療法・漢方など
病院・クリニックでのホルモン補充療法(HRT)
急激に低下する女性ホルモンを補う

HRTはHormone Replacement Therapyの略で、低下したエストロゲンを補う治療法です。
エストロゲンレベル低下によるのぼせ、ほてり、発汗、性交痛などの症状はもとより、気分の変調など更年期以降の様々な症状を改善するなど幅広い効果が認められ、QOLの向上にも大きな貢献が期待できます。
HRTは、世界の更年期医療のスタンダードとして先進国を中心に多くの女性に使用されています。
しかし、日本では正しい情報が十分に広まっていないため、不安を感じる人も多く、普及はまだまだ遅れています。
HRTの使用方法
HRTは子宮があるか、月経様の出血を望むか、閉経後どれくらい経っているかなどによって、使う製剤と使用パターンが異なります。
製剤も経口剤、経皮剤(貼付剤とゲル剤)など種類がありますのでどんなやり方を選ぶのか、自分の体の状態を知るとともに「自分はどうしたいか」を考え、医師と相談して決めましょう。
子宮を摘出した方の場合
エストロゲンだけを毎日使用します(エストロゲン単独療法)。
子宮を有している場合
子宮体がんやその前癌病変である子宮内膜増殖症を防ぐために、エストロゲンに加えて、黄体ホルモンの併用が必要です(エストロゲン・黄体ホルモン併用療法)。
方法には2つあります。
周期的併用投与法
エストロゲンを毎日(または定期的に)使用し、1ヶ月の約半分(12〜14日間)だけ黄体ホルモンを併用する方法。 黄体ホルモンの併用終了後に月経のような出血が起こります。
持続的併用投与法
エストロゲンと黄体ホルモンを毎日使用する方法。 この方法では、基本的に出血はありません。閉経後数年経っており、周期的な出血を望まない人に向いています。
漢方薬
漢方薬は、その患者の体質、体型や自覚症状などを総合的に判断して、症状ごとにどの漢方薬を使うかが決まります。
その判断のものさしとなるのが「証」と呼ばれるものです。
実証:がっちりした体型で、体力がある。抵抗力強い
虚証:やせていて体力がない。冷え性である。抵抗力低い
更年期の症状には、虚証タイプの女性には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、中間証(実証と虚証の中間の状態)タイプには加味逍遙散(かみしょうようさん)、実証タイプの女性には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がよく処方されています。
風邪の症状に用いられる漢方薬などの例外もありますが、漢方薬は西洋薬と比較して、一般的に効き始めるまでに時間がかかるといわれています。
その理由として、漢方薬は、西洋薬のようにある症状をピンポイントに狙って治療するのではなく、体質を改善し、体全体としての治癒力を高めるように作用することがあげられます。
漢方薬は副作用が少なく、安全性が高いと思われがちですが、「証」に合わない薬の服用によって効かなかったり、副作用が起きることがあります。「小柴胡湯(しょうさいことう)による間質性肺炎」のような重篤な副作用も過去に報告されています。
漢方薬を服用して、体調がおかしいと感じたときは、服用をやめて、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
抗不安剤・抗うつ薬
抑うつ気分は多くの人が更年期に経験する症状です。気分の落ち込み、不安感や焦燥感が強い場合は、抗不安薬・抗うつ薬などの向精神薬も有効ですが、服用には医師の診断が必要です。婦人科や心療内科を受診し、担当医と相談しましょう。

心理療法・カウンセリング
心理・社会的要因が背景にある場合に行われます。
各種薬物療法と併用できることもあり、一定の効果も期待できます。

1986年 慶應義塾大学医学部卒業。
1992年 ドイツ・ベーリングベルケ社リサーチラボラトリー留学。
2007年 東京歯科大学市川総合病院産婦人科教授。
2008年 慶應義塾大学医学部客員教授(産婦人科学)兼任。
2024年
つくばみらい遠藤レディースクリニック 顧問。
日本女性医学学会専門医・指導医、同学会理事長、
日本女性心身医学会認定医、同学会理事長など。









