更年期付近から注意したい病気
生活習慣病のリスクが上昇
糖尿病や動脈硬化に注意
女性ホルモンの働きには、血管をしなやかに保ち、動脈硬化の予防や内臓脂肪の分解をしやすくするなどがあり、男性と異なり女性は生活習慣病の発症が抑えられていました。
しかし閉経以降は女性ホルモンの保護がなくなり、「脂質異常症」「動脈硬化」「糖尿病」「高血圧」など生活習慣病へのリスクも高まっていきます。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞など、重大な病気を引き起こす危険因子であるため、特に閉経後の女性はこれまで以上に注意が必要です。

【 高血圧症 】
下のグラフは閉経前後から、動脈硬化が急速に進行することを表しています。
血管の内皮機能を調べる検査(FMD検査)の結果です。
上腕を駆血して、駆血前と駆血から開放した時の血管径の拡張の程度を超音波で計測します。FMDの低下は血管の抵抗性の上昇を意味します。

Celermajer DS, et al., J Am Coll Cardiol 24:471-476, 1994
【 脂質異常症 】
閉経後の女性の血液中では、総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪が増加します。
そしてHDL(善玉)コレステロールは減少します。
このような変化はいずれも動脈硬化を促進し、心臓や血管に悪影響を与えます。

厚生労働省:第5次循環器疾患基礎調査の概要, 2000
自覚症状がない骨に関する病気
骨粗しょう症に注意
更年期を迎えると、エストロゲンの急減な低下によって骨代謝のバランスが崩れ、閉経後、1年に2%ずつ骨量は減り、10年後には20%も減少するといわれています。特に閉経直後は急激に減少します。
若い時に蓄えた骨の量が減少して骨がもろくなり、骨折リスクが高まります。
閉経を契機として、なるべく早く骨密度測定を受けましょう。

藤田拓男:臨床婦人科産科 43:677-680, 1989より作成
山本逸雄:Osteoporosis Japan 7:10-11, 1999より作成
下の図は正常の腰椎と骨粗鬆症の患者さんの腰椎を比較した模式図です。
正常の腰椎では骨梁が密になっていますが、骨粗鬆症の患者さんの腰椎では縦走する骨梁がはっきりとみえるようにスカスカになっています。

背中がまがる、若い時より2cm以上身長が縮むなどの症状が出てきたら要注意です。
医療機関を受診するようにしましょう。
エクオールが有効
エクオールは血管にも骨にも有効
上記で示したように、女性は閉経を迎えると血圧が上がったり悪玉コレステロールが増加するなどいわゆるメタボと言われるメタボリック症候群になりやすくなります。
エクオールには、悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や糖尿病などのリスクを軽減する作用があり、さらに骨密度の減少を抑制する作用も認められました。
第一にエネルギー源や各種栄養素をバランスよく摂取することが大切なのは言うまでもありませんが、そのうえでこのような成分を上手に活用していくとよいでしょう。

Usui T, et al., Clin Endocrinol 78(3): 365-372, 2013 より作成

Usui T, et al., Clin Endocrinol 78(3): 365-372, 2013 より作成

Usui T, et al., Clin Endocrinol 78(3): 365-372, 2013 より作成

Tousen Y, et al., Menopause 18(5), 563-574, 2011 より作成

1986年 慶應義塾大学医学部卒業。
1992年 ドイツ・ベーリングベルケ社リサーチラボラトリー留学。
2007年 東京歯科大学市川総合病院産婦人科教授。
2008年 慶應義塾大学医学部客員教授(産婦人科学)兼任。
2024年
つくばみらい遠藤レディースクリニック 顧問。
日本女性医学学会専門医・指導医、同学会理事長、
日本女性心身医学会認定医、同学会理事長など。









