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女性ホルモンが減少すると骨がもろくなる!?骨粗しょう症を防ぐための対策とは

麻生 武志
麻生 武志(あそう たけし)先生
東京医科歯科大学名誉教授
医学博士。京都大学医学部医学科卒業、スウェーデン、米国留学、東京医科歯科大学大学院教授、同医学部付属病院周産・女性診療科長などを務める。著書に「女性総合外来:基礎と実践」など多数。
年を重ねても自分の力で元気に歩き続けるためには、骨の健康度が大きなカギとなります。骨は絶えず新陳代謝を繰り返している組織ですが、40代以降の女性においては、骨の健康を支える女性ホルモンが大きく減少。それにより、骨密度と骨の質が低下して骨粗しょう症になるリスクが高くなります。

女性ホルモンの減少と骨粗しょう症との深い関係

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。このうち、エストロゲンには骨の形成を促し、骨の吸収(古い骨を壊す)を抑える働きがあります。
ところが、40代以降になるとそれまで骨を守っていたエストロゲンの分泌が減少するために、骨密度が低下し骨の質も劣化して骨がもろくなり、進行すると骨折の原因になります。もともと、女性は男性に比べて骨量が低いうえに加齢による影響に更年期のエストロゲンの減少も重なって、50代以降には骨粗しょう症の発生が急増するのです。
女性ホルモンが減少すると骨がもろくなる!?骨粗しょう症を防ぐための対策とは

骨の健康維持に役立つエクオール

骨粗しょう症は自覚しにくい病気のひとつ。外から骨の健康度を目で確認することは難しいため、40代を過ぎ女性ホルモンが減少し始める時期に入ったら、骨密度など骨の状態に気を配りたいところです。食事面では、栄養バランスのとれた食事を基本に、小魚や乳製品、海藻類などカルシウムが豊富な食材を意識して摂取することが大切。そして、適度な運動を取り入れて丈夫な骨を保ち、骨粗しょう症に備えましょう。

そのうえで考えたいのが、大豆由来成分エクオールの活用です。大豆や大豆食品に含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできるエクオールは、エストロゲンとよく似た働きをするため、エストロゲンが減少する時期の健康を支える働きが期待されています。
エクオールの摂取と骨密度の変化についての研究では、エクオールを産生しない45~60歳の閉経後女性93人を対象に、エクオール1日10mg摂取群とプラセボ(対照偽成分)摂取群の1年後の骨密度の変化を計測しました。その結果、エクオールを10mg摂取したグループの骨密度の低下が有意に少ないことが証明されました。
女性ホルモンが減少すると骨がもろくなる!?骨粗しょう症を防ぐための対策とは
ただし、エクオールを体内で産生できるのは日本人の約2人に1人といわれています。産生できない場合は、サプリメントでエクオールを直接摂取することも可能です。
骨の健康を維持することで、姿勢が保たれ若々しく見えるだけでなく、将来寝たきりになるリスクも低減されると考えられます。40代になったら、骨粗しょう症を予防する生活習慣とともに、定期的に骨密度を測定するなどし、いつまでも元気に歩ける体を保ちたいですね。
掲載:2020年10月