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40代以降の女性は生活習慣病になりやすい?動脈硬化やメタボ予防に必要な対策とは

麻生 武志
麻生 武志(あそう たけし)先生
東京医科歯科大学名誉教授
医学博士。京都大学医学部医学科卒業、スウェーデン、米国留学、東京医科歯科大学大学院教授、同医学部付属病院周産・女性診療科長などを務める。著書に「女性総合外来:基礎と実践」など多数。
40代以降の女性は生活習慣病になりやすい?動脈硬化やメタボ予防に必要な対策とは
女性にとって大切な役割をもつ女性ホルモン・エストロゲン。妊娠や出産に適した体づくりに必要であるだけでなく、骨や脂質の代謝などにも関連し、骨量の減少や血管の劣化を抑えて骨粗鬆症や動脈硬化を予防し、内臓脂肪を分解しやすくするなど、健康を維持するうえでも欠かせない存在です。
40代以降は女性ホルモンが大きく減少し内臓脂肪が増えることで体重増加・肥満となり、メタボリック症候群:メタボやさまざまな生活習慣病へのリスクが高まります。生活習慣病を防ぎ生涯に亘って元気な毎日を過ごすためには、どうすればよいのでしょう?

女性ホルモンが減少するとメタボになりやすいのはナゼ?

そもそも、なぜ女性ホルモンが減少すると、メタボのリスクが高まってしまうのでしょうか?
女性の健康を支える女性ホルモンには、さまざまな機能がありますが、コレステロール代謝への作用もそのひとつ。LDL(悪玉)コレステロールが増えるのをおさえ、HDL(善玉)コレステロールを増やして健康な血管の機能をサポートしています。
ところが、40代以降に女性ホルモンが減少すると、LDLコレステロールが増加し、血管の弾力性が低下して血圧が上がり、メタボリック症候群:メタボにもなりやすくなってしまうのです。メタボは、糖尿病、脂質異常症や動脈硬化などの生活習慣病と密接に関連しますので、十分に注意しなければなりません。

エクオールが糖尿病、動脈硬化のリスクや悪玉コレステロールを抑制

エクオールは、大豆や大豆製品に含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分です。さまざまな研究を通して、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをすることがわかっており、メタボや血管の健康への働きかけが期待されています。
実際に、エクオールを産生しない閉経後の女性34人を対象に、エクオール10mg摂取群とプラセボ(対照偽薬)摂取群に分けて試験を実施。12週間の摂取で、糖尿病や動脈硬化のリスクが有意に下がり、LDLコレステロールが減少したことが明らかになりました。
40代以降の女性は生活習慣病になりやすい?動脈硬化やメタボ予防に必要な対策とは
「中年太り」という言葉が示す通り、40代以降は太りやすい年代です。まずは摂取エネルギーを調整し、特に甘いものを含む間食類を抑えましょう。1日3回の食事の時間を一定にして、極端に遅い夕食は避け、食事を楽しんでゆっくりよく噛んで摂りましょう。また、基礎代謝を維持するために筋トレーニングも有効です。無理なく続けられる方法をみつけ、意識して体を動かすことに心がけたいですね。自分の適性体重を知り、食事・運動、そしてエクオールで生活習慣病対策に取り組んではいかがでしょうか。
掲載:2020年10月