手指の痛み・
しびれ・変形③
の原因・症状と対策方法
「手根管症候群」の症状について
【症状の概要】
「手根管」とは、手首の手のひら側にある骨と靭帯に囲まれた伸び縮みのできないトンネル状の器官で、9つの「腱」と「正中神経」が通っています。
腱や腱鞘が炎症を起こして腫れることで、正中神経を圧迫するため、親指から薬指の親指側半分までのどこかに、しびれ・痛みが生じます。
発症初期の頃、しびれ・痛みは明け方に強く現れます。
指を下にして手を振ることで、症状が楽になります。
進行すると、筋肉に達している神経が痛み、親指の付け根の筋肉(母指球筋)が痩せてくるため、細かい作業がしにくくなったり、親指と人差し指でマル(OKサイン)がつくりにくくなったりします。
手指の痺れは、脳卒中、糖尿病、首の病気でも生じます。
生命に関わる病気の可能性もあるため、専門医に診断してもらいましょう。
- 小指以外の指がジンジンしびれる、感覚がない
- 夜中や明け方に痛み、しびれが強くなり手を振ると緩和される
- 進行すると親指の付け根の筋肉が痩せ細かい物がつかみづらくなる
- シビレは生命に関わる原因疾患の可能性もあるので自分で判断しないこと
「手根管症候群」が起こる原因
現時点では原因は不明ですが、発症が更年期や妊娠時、産後授乳期の女性に多く、血液中の女性ホルモンの変動(とくに減少)により、手根管の中で腫れた腱が正中神経を圧迫するのも原因のひとつと考えられています。
手首の骨折経験や、手を使う重労働、透析が原因で発症することもあります。
対処法・治療法
対処療法として、腫れ・痛み・しびれのある部位の安静と固定(装具)や投薬(消炎鎮痛剤やビタミンB12、神経障害性疼痛治療薬、局所麻酔剤入りステロイド注射)があります。
また、女性ホルモンに似た働きを持つエクオール含有のサプリメントの摂取も、初期の症状の緩和に役立つという報告もあり、期待されています。
上記の方法で改善が見られず症状が悪化したり、母指球筋が痩せてしまったり、しこりのある場合には、手術的に手根管を開放し、正中神経への圧迫を取り除くこともあります。
監修
平瀬 雄一 先生
四谷メディカルキューブ
手の外科・マイクロサージャリーセンター センター長
1982年東京慈恵会医科大学 卒業・米国サンフランシスコヘ留学。デービスメディカルセンターでProf. Harry Buncke(ハリー・バンキ教授)に師事。米国デービスメディカルセンター客員教授、慈恵医大柏病院形成外科診療医長、埼玉成恵会病院形成外科部長(埼玉手の外科研究所)を経て、2010年より現職。
2016-2020年 日本手外科学会理事、日本手の外科学会認定専門医、日本形成外科学会認定専門医、日本マイクロサージャリー学会評議員、米国手外科学会International Memberほか。
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